2005年12月30日

ぶるる05 有馬記念

街路樹の色もすっかり褪せてしまった。
吹き上げられる枯葉がいかにも寒そうで
ビルの2階にあるバーのカウンターに肘をつき
後ろを振り返る姿勢で由紀夫は外の歩道を見下ろした。

熱心なファンの多い作家のレビューを書くときは注意が必要だ。
普段書くことの多いエッセイとは訳が違う。
エッセイなら、個人的な独り言で勝手気侭に書いていい。
というか、勝手気侭さが問われるといってもいいくらいだ。

彼の作品はこうであるとかないとか、
一家言ある熱心なファンはどんなことを書いても、
つまり的を外していても、的を得ていても
批判の対象にされる。
一人の熱心なファンから批判が投稿されてくると、
彼または彼女の後ろには、批判を覚えても、
それを投稿するまでには至らなかった
目に見えない何人の熱心なファンがいるのだろうかと思う。
そんなことを思うといてもたってもいられない。
身震いしてしまう。
恐怖か、可笑しいからか自分ではわからない。
どんなに挑発されても、乗ったことはない。
恐怖からか、物悲しくなることがわかっているからか。
自分ではわからない。

目の前の40代後半に差し掛かる、壮年の紳士は
随分とくたびれて見える。
液晶画面で何かのスポーツの表彰式が行われている。
外国人が嬉しそうに両手を挙げて、声援に応えている。

有馬記念。
1年を締めくくる競馬の大きなレースだ。
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posted by チキ at 14:33| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 競馬関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月26日

ぶるる05 ジャパンカップ

最後に覚えているのは雪の景色。
結晶を浮かべた貴腐ワインで満たされたグラスは凍りつき、
次第にかじかんでいく指は行き先を見失い、
仕方なく煙草を引っつかみ、丸めたり転がしたりして持て余す。
それは夢の中でみた夢のよう。
それとも本当に見た景色なのかも知れない。

様々な景色と感情が次から次へと溢れて判然としないまま、
目の前のぼんやりとした顔の輪郭を
そっと包み込むように手の平で包み込んでいて
ふと我に返った。

両手で包み込んでいたのは香耶子の顔だった。
目の前が曇って見えるのは、由紀夫が涙を流しているせいだ。
どうして涙を流しているのだろう。
不思議に思いながらにっこりと香耶子に笑いかけると、
目の前の青白い顔をした美しい女性は少しだけ安心したような顔をした。
「慈悲」というコトバが一瞬由紀夫の頭の中を過ぎった。

香耶子との夜は切なさというのとは少し違う。
由紀夫は女性と寝ていて涙を流したのは
これで二度目だなと思いながら数年振りの深い眠りに落ちた。
昨夜のことだ。

この恋はレンアイなんだろうか。
ふとそんなことを思う。
自分にとっての恋愛はとっくの昔に終わったと思っていた。
多少の未練はあったとしてもだ(苦笑)。

昨夜『イージーゴーア』で、合鴨と香草を和えたものを食べながら
仕事のことや、来年の予定や、香耶子が撮影で行った場所のことを
話したり、アップルワインを飲んだり、マスターが「つくってみた」と一言、
出してきたトマトのおでんを食べるなどして、
香耶子とは今までになく親密な雰囲気だった。

トマトの味わいはビミョウな風味だった。

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posted by チキ at 17:49| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 競馬関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月20日

ぶるる05 マイルCS

チルチルチル
ステルトミチル・・・

ちるちるちる
すてるとみちる・・・

後輩の伸也が持ってきたCDは物悲しいメロディーで困る。
病院のベッドの上で町田はため息をついた。

しくじったな・・・

車輪は七色の太陽の光を反射して
今来た道筋をアスファルトに一瞬残していく
コーナーであえぐ息を飲み込んで
散歩中のチワワ ダックスフント トサケン ベアドッグを
何回か轢きそうになりながらも毛皮と毛皮の間を縫って進む
ベアドッグは軽井沢などで人家に忍ぶ熊を事前に見つけるために
特別に調教された犬らしい
優秀で賢くおとなしく長生きなので
最近では一般家庭でも人気となりつつある犬種だ。

コイビトもベアドッグを最近飼い始めたらしい。
まだ会ったことはない。

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posted by チキ at 01:25| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 競馬関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月30日

ぶるる05 天皇賞 〜エンペラーズカップ100周年記念〜

綺麗に色分けされた、聳え立つ人口の壁を見上げている。

なーるほどね〜。

由紀夫は呟くとチョークバッグの中の滑り止めを指に馴染ませながら、
なおもぼーっと見上げる。
壁の高さに威圧されているわけではない。
と言いたいところだが、ちょっとだけ威圧もされている。苦笑

だが、ぼーっと見上げていながらも、実際はコースを見極めているのだった。
人口のクライミング用の壁には、熟練度によって色分けした突起があり、
由紀夫は「初心者用」であるピンク色の突起郡の中からコースを見出そうとしていたのだ。

実際の自然の中にある壁は色分けされていないのはもちろんだが、
昇る前にコースを見極めてからスタートする必要がある。
自分の力量を冷静に見極めて、こなせそうなルートを頭に叩き込む。
登るのはそれからだ。

フリークライミングは「フリー」とあるが、全く自由というわけではない。
むしろ、制約は必然的に存在する。
その制約をノリやイキオイで乗り越えることも全く不可能ではないが、
チャレンジを続けていくのならば、自然と着地する場所がある。
なによりもパートナーや全くの他人を巻き添えにして命の危険にさらすことだってあるのだ。

由紀夫はクライミングが趣味の友人にそんな話を聞いて興味を持ち、
そして横浜のインドアのクライミング用施設を訪れてみたのだ。

なぜか?

う〜ん、なんでかなあ。

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posted by チキ at 18:29| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 競馬関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月23日

ぶるる05 菊花賞

そうは言われたものの泣きそう。。。

キョウコは落ち込んでいた。
分っていたことだが、由紀夫の言うことなど、直接会って
話を聞いている間は、なんだか納得してしまえるのだが、
夜寝て次の朝に思い返してみると、もういつもの自分に戻っていた。

所詮由紀夫の言うことなど気休めに過ぎない。。。
(酷いこと言ってるわ私、由紀夫ごめんね〜)

イナイナ。。。

由紀夫の言うことはもっともで、
あたしはその意見を聞き入れるべきだと思う。
恋人のカズシが自分の方からなかなか連絡してこないのは、
決して私に対して覚めているのではなく、
カズシの人に対するアプローチや、もともと
彼の周りに流れている時間の感覚が私と違うってだけのこと。

そうなんだろうね〜。
素直にそう思えたらラク、だわ。苦笑

由紀夫はそう言うけど、私と由紀夫の間の時間の流れや、
ものの考え方だって違うはずなのよ。
だから由紀夫の意見を一つの考え方として理解はできても、
それを自分の考え方としてなかなか受け入れられないのは
仕様がないじゃない!?

じゃない?

ん〜、いかんわ〜、さっきから34周、この禅問答を繰り返してるわ〜。

こういうときは出かけなきゃ。

***

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posted by チキ at 13:29| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 競馬関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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